首筋に何度も口づける瑠衣。
杏奈も熱いくらいの口づけに目を閉じる。

・・・目を閉じて・・・

「おいっ。本当に寝るなよ」
耳元で聞こえた声に慌てて目を開けると、杏奈は本当に眠りに落ちていたことに気づいた。

「寝てた?」
「寝てたよ。かくってなったし。一瞬で眠りに落ちんなよ。びっくりした。」
慌てた瑠衣の声。杏奈自身も驚いた。

いつも睡眠時間は短い杏奈。
早朝から深夜まで仕事をする日も多いが杏奈は眠気には強いほうだった。
むしろ短時間でもすっきりと眠れるようになっている体は、短時間睡眠でも疲れをとれるくらいの体力もあった。
なのに、一瞬で、しかも人生初めて湯船の中で眠りかけた自分自身に驚いた。

「どうしちゃったんだろ。こんなことなかったのに。」
さすがに自分でも信じられない杏奈は首をかしげる。