「ケーキ食べるか」
落ち着いた杏奈の方を見ながら瑠衣が微笑む。
「最も効果的なのは杏奈の好物を食べることだろ？」

母からの手紙を引用した瑠衣の言葉に杏奈は心から微笑んだ。

心の中で母に語り掛ける杏奈。
お母さん、私心から笑えているよ。
この人の隣ならいつだって心からの笑顔で、私らしくいられる。
だから安心してみていてねと・・・。


「この手紙はお父さんにもっていてもらう」
杏奈はそう言って母からの自分への手紙を手にした。
「いいのか？」
意外な言葉に思わず聞く瑠衣に杏奈は深く頷く。
「だって、これはお母さんからお父さんへのラブレターだもん。」

微笑む杏奈の瞳から再び涙が伝う。