「大丈夫。何とかなりそうだから。」
「え？」
瑠衣の言葉に杏奈が瑠衣を見つめると、嬉しそうに微笑みながら瑠衣が話始めた。

「俺留学してるときに、新薬にも使えそうな成分の研究をしてたんだ。でも、結果が出そうって時に親父から連絡があって、途中で帰国したんだけどさ。ここ数日、その研究で開発した成分の精製をしてたんだ。」
「・・・」
「昨日、完成した。特許の申請をこれからして、特許がとれるはずだ。それから、製品化も今年中にはできると思う。」
瑠衣は横になっている杏奈の髪を優しくなでた。

「多分、会社にとってかなり利益を生み出す結果だと思う。今回の事態でかなりの損失もでたけど、人員削除に入らなくても事態を乗り越えられる。むしろかなりの利益を生むと思うんだ。」
「・・・本当に」
不安そうな表情の杏奈に、瑠衣が優しく微笑む。

その表情からも数日前のぎこちない微笑みとは全く違い、力が抜けていると感じた杏奈。