目を開けると心配そうな瑠衣の顔が見えた。
久しぶりに見る瑠衣は少し頬がやつれている。

「・・・?」
夢を見ているのかと何度か瞬きをする杏奈。

「大丈夫か?どこも痛まないか?頭、痛くないか?」
瑠衣の言葉に、これが現実なのだとわかる杏奈。
不思議そうに瑠衣を見ると瑠衣が「駅で倒れたんだよ」と杏奈に言った。

少し考えてから、頭がはっきりとしてきた杏奈はベッドから体を起こそうとして瑠衣に止められた。
「まだ横になってろ。今点滴してるから。貧血だって。」
自分のいる場所が病院のベッドだと認識した杏奈。
同時に今の状況で瑠衣に迷惑をかけてしまったという罪悪感に襲われる。

「ごめんなさい。大事な時間・・・ごめんなさい。」
謝る杏奈の頭を撫でながら、瑠衣が優しく微笑んだ。