低音の瑠衣の声の響きが心地いい。

ずっとこのままこうしていたいと思う杏奈の手を、瑠衣が握る。

「行くぞ」
瑠衣は結局杏奈に抱き着かれたまま、二人三脚でもしているかのように、同じ方の足を出しながらゆっくりと浴室に杏奈を連れて行った。

ちらりと瑠衣の背中越しに見える瑠衣の部屋。

広い広いリビングのほかにもいくつか部屋がある。杏奈の部屋に比べたら軽く4~5倍はある。
案内された浴室だけで、杏奈の部屋一つ分あるのではないかと思う広さだった。

すでに浴室にある大きな洗面台には杏奈がスーパーで買ってきたメイク落としなどのセットが置かれていた。

「瑠衣」
「ん?」
杏奈に言われて瑠衣が抱き着かれたまま鏡越しに杏奈を見る。