杏奈が目を開けると、知らない部屋のソファだった。
広い広い部屋の中央に置かれたソファ。
物音がして体を起こすと、キッチンが見えて、そこに立つ長身の男が見えた。

瑠衣だ。

買い物を終えて瑠衣の住んでいるマンションに向かっている時、杏奈は助手席で眠ってしまった。

赤信号で止まった時に助手席の杏奈を見る瑠衣。

泣きつかれていた杏奈。
瑠衣はそっと杏奈の腫れている瞼に触れてから、口づけをして、再び車を走らせた。

なにやら作業をしている瑠衣の大きな背中。
見ているだけで大きな安心感に包まれる。

ふと杏奈が自分の体に目を移すと、ぶかぶかのスウェット姿だった。
袖と裾をぐるっとまくってある。