「ばかじゃない。天才だ。」
この返しも昔と同じ。
すかさず言い返してくる瑠衣に、杏奈は思わず口にしてしまった言葉に罪悪感を感じずに済んだ。

「じゃあ短い時間で入れよ?長い時は勝手に扉開けるからな。」
「はい・・・」
心配そうな瑠衣に見送られて杏奈はシャワーを浴びに浴室に入った。

鏡を見ると泣きすぎてかなり目が腫れていることに気が付いた。

こんな状態の自分を見たら放っておけなくなるはずだ・・・

瑠衣が帰らず仕事を休みそばにいてくれていることが、自分への同情だと思った杏奈はシャワーを浴びたら、もう大丈夫だという自分をみせようと決めて、シャワーを浴び始めた。



ゆっくりしていたら本当に瑠衣が浴室に入ってくる気がして杏奈は急いでシャワーを浴びた。