首を横に振る杏奈に瑠衣は厳しい顔をしてから「ダメ。なんか食え」とキッチンへと向かった。
「あーだめ。」
杏奈が慌ててベッドから再び出ようとすると杏奈の方に厳しい視線を送って瑠衣はベッドに戻るように指をさした。
「何も入ってないから」
杏奈の言葉に瑠衣が「本当に何もはいってないじゃん」と笑う。

最近仕事が忙しくて家ではほとんど食事をとっていない杏奈。
冷蔵庫に入っているのは栄養ドリンクや水、調味料、ゼリー飲料くらいだった。
瑠衣が冷蔵庫の次に冷凍庫を開けるとそこにはたくさんアイスクリームが入っていた。
「お前、もっと栄養のあるもん食えよ。アイスばっかり食ってんなよ？」
そう言って杏奈の方を見る瑠衣に、杏奈は懐かしさを感じた。

二人で付き合っている時も、杏奈の偏食ぶりを瑠衣はよく注意していた。

「よし！今日は俺の特製スープ作ってやるよ。」
「・・・」
「ちょっくら買い物行ってくる。待ってろ。」
「そんなっ大丈夫。いいから。」
わざわざ買い物へ行こうとしている瑠衣に声をかける杏奈。