「何言って・・・」
戸惑う杏奈の頬を優しくなでる瑠衣の表情はこれ以上ないほどに優しい表情をしている。

「ちょっっと・・・」
「ん?」
「・・・貧血・・・」
「えっ?」
みるみるうちに真っ青になる杏奈の体を瑠衣がすかさずに支えてベッドに体を横にする。
「ごめん。具合悪いのにする話じゃなかったよな」
「・・・」
ベッドに横になった杏奈の髪を撫でながら瑠衣が杏奈を見る。
「でも、本気だから。結婚したい。杏奈と。」
「・・・でも」
「今は返事はいい。具合がよくなってからでいい。ちょっと休め。」
「・・・」
そう言って瑠衣は杏奈の瞳を閉じるように目の上を優しくなでた。

目を閉じると杏奈はすぐに眠りに落ちる。

「愛してる」
耳元で瑠衣の声が聞こえた気がした。