その事実を知ったのは、杏奈の母の葬儀の時に杏奈の父から話を聞いたからだった。

何も知らないまま5年間。

杏奈が一番つらい時に自分はそばにいなかった。



その事実を知った瑠衣には、杏奈の部屋で見るものが心に後悔として突き刺さるように痛みとなって見えた。

瑠衣は玄関に杏奈の靴を置くと、ベッドに横になる杏奈の元へ近付いた。

そっと髪を撫でる。

かなりの高熱だ。

辛そうに顔をゆがめている杏奈の頬を撫でる。