ユマはうずくまったまま動かない。


その顔はひどく青ざめ、額から冷汗が出ているのがわかった。


雄大のやつ、どれだけの馬鹿力でけったんだよ。


舌打ちをしながらユマを御姫様抱っこして保健室へと向かった。


「なんでこんなときに保険の先生はいないんだよ」


保健室の中は暗く、鍵がかけられていた。


ドアノブには『会議中』と書かれたプレートがかけられているから、きっと職員室にでもいるのだろう。


「ユマ。先生を呼んでくるからここで待っててくれるか?」


その質問にユマは左右に首を振った。


「ごめんナオヤ。あたしこのまま帰りたい」


「早退するか? 美術部のコンテストが近いから休めないって言ってたけど、大丈夫なのか?」


俺は昨日のユマとのメッセージを思い出してそう聞いた。


ユマが入部している美術部は全国的にも注目されていて、高校生限定のコンテストでも多く記録を残してきた。