「じゃあ、、、、、脱げ。」


「え?いや、、、でも、、、、。」


目の前の指示に桃音は体をくねらせ顔を赤らめるのが精一杯だった。


タイトなドレス。
この屋敷では身体にフィットする服装の着用のみ認められていた。


「勿体ぶるな、時間がない。」


時間がない、その言葉にハッとする。
(そうだ、私が手間を取らせるなんてダメだ)


要求に忠実に答える。
それが桃音の求められている事。
そして、この屋敷で生きていく為の手段。


桃音はドレスの肩紐を滑らせる。

左肩、右肩、胸、ドレスを足元まで落とし下着を取る。

これはもう何度目だろうか。
同じ事なのにどうしてこんなに毎度羞恥心で逃げ出したくなるのだろう。


裸体を晒しより一層赤くなる。


(み、、、見られてる、めっちゃ見られてるー!うぅ、、、恥ずかしくて死んじゃうよ)


「背筋を伸ばせ。足は前後に開け。」


桃音は指示の通りに動く。
呼吸が苦しくなってきた。
平常心、平常心、そう何度だって言い聞かせる。


「お尻の筋肉が足りないな。太腿もまだ太い。腰回りはだいぶ良くなった。」


桃音は華奢過ぎる体を太いと言われ更に赤くなる。

体重は変わっていない。何がいけなかったのか。

「ご、、、、ごめんなさい、、、。」


「いつまでに出来る?」


いつまで、
その問いは余りに大きく雑で難関だった。

求められている体型にいつまでになるべきか
早いに越したことはない。わかっている。

ただ、それが出来るのはいつまでか、そんな事は桃音にもわからなかった。

けれど、明確な日を指定しなければ失望される。桃音は焦りながら1週間と呟いた。


「必ずだ。」

小さく頷く。

いつだって厳しい。いつも怖い。
けれど、
それでもそばに居たい。


こんな複雑な感情を桃音の目の前の人物は微塵も知らないのだろう。