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“それ”は時として“恵み”にもなれば、
“脅威”ともなる。


“それ”はスポーツ選手にとっては“邪魔”となり、農家さんにとっては“待望”となる。


状況、立場によって、
様々な顔色を見せる“それ”。


・・ハッキリ言って俺は大っ嫌・・


「あ~ぁ。それにしても全然止まないね。」


現場へと向かう車中、助手席に座る先輩の早苗さんが俺の気持ちを代弁してくれた。


「この“雨”だと遺留物は全部洗い流されてるかもしれないですね。」


「ホント・・梅雨の時期ぐらい犯罪者には大人しくしてもらいたい所だよね。」



朝から降り続く土砂降りの雨。

ワイパーを“HI”にしてもフロントガラスへ容赦なく打ちつけてくる。


夜という暗さも相まって視界は最悪の中、やがて通行止め・迂回の誘導などなど・・

関係者以外立ち入り禁止の現場保全に努めるパトカーの回転灯が大量に視界に入ってきた。



「この辺に停めますね。」


「ご苦労様。」