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「二見ー、こっちこっち」

「なんかひょろくなったね」

「最初がそれかい、うちの大学陸上部ないんだよね」


 荷物持つよ、と言って笑う青井は17の夏と比べて

 細身になったし色も白かったし眼鏡をかけていた。

 いや、眼鏡は中学まではかけてたか。

 走るときに邪魔だからってコンタクトにしてたんだ。

 もう短距離は、やらないのだろうか。


「空港の中も見る? 市街地のがいい?」

「市街地! 大きい本屋あるでしょ、あれ日本の本屋100選に選ばれてて……」

「二見って昔から本好きよなぁ」


 昔から。

 ああそうだ、もう気づけば私たちは20になってしまった。


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