肩越しから一気に熱が産まれていくのを感じた。
思わず身動きが取れなくなって、その場で固まってしまう。
何を…意識して。こんなのいつもと同じリップサービスに決まっている。私をからかってどうせ反応を見て楽しんで…
と、思ったらゆっくりと肩から顔を上げた昴さんは目線を上げて、いつもの余裕な様子ではなくどこか戸惑っている感じがして
「ま…た…昴さんってば…直ぐに冗談言う…」
「誰にでも優しいのは俺の性分なんだ。それが嫌だって言うなら、ほんの少しだけ静綺ちゃんに特別に優しくする」
「あの…昴さん…私困ります。冗談でも昴さんにそんな事を言われたら…」
「冗談じゃないよ。実はこの寮に来たのだって静綺ちゃんがいたからだし
毎日美味しいご飯を作ってくれて、笑っていってらっしゃいって言ってくれるの、ずっと癒しになってたしさ。
最初は可愛いし良い子だなーって位にしか思ってなかったけど。
俺真央が羨ましかった…。静綺ちゃんは真央の事をすっごく理解してて、真央になりたいって思った。
そういう風に思う気持ちってもう好きなんだと思うけど」
いつもは余裕で笑顔を浮かべる昴さんが、少しだけ戸惑っていていつもの余裕をなくしている。
目の前に起こっている出来事がまるで信じられない。だってあの大滝昴だよ?テレビの中の人で、超人気俳優なんだよ。
そんな人が私を好きになるなんて信じられない。