「真央くんは特別だよ。天才だし努力家だし。売れる理由は分かる」
「豊さんも坂上さんと同じ事を言うんですね…」
「これでも真央くん尊敬してるからね。
俳優とお笑い芸人って畑違いの仕事だけど、昔から真央くんは僕の出ているお笑いライブにもよく足を運んでくれて、出ているDVDやテレビはちょっとした出演でも絶対に見逃さないでいてくれるんだ。
そんでアドバイスをくれたり、知り合いのプロデューサーを紹介してくれたりした事もある。瑠璃さんに至ってもそうじゃないかなあ?
あの子は畑違いの仕事であっても真剣に向き合ってくれるんだ。そういう所本当に尊敬する。
意外に面倒見が良いんだよね。だから僕はどっちかというと昴くんの方が心配なんだけど」
「昴さん?」
「昴くんは人当りも良いし優しいけど、あんまり人に興味がないって感じがするから。
真央くんほど分かりやすい人間ではないよ。けれどこの業界に居て悩まない人なんていないと思うからさ」
昴さんは完璧な人だと思っていた。それこそ正に私の思い違いだったのかも。
昴さんにだって人には言えないような悩みがあるよね。何を根拠に昴さんならば大丈夫だと思えたのだろう。
「豊さんって人の事きちんと見ているって感じがする。言ってる事も的確だし…。私ってやっぱり駄目だなぁー…」
「まあそれこそ的確かどうかは不明だけどね。それより真央くん大丈夫かな?
最近具合い悪そうだったよね」
やっぱり豊さんも気づいていたか。私に気づいていて、豊さんが気づいていないとは思えなかったけど。
その言葉に不安が募る。