真央の話は途中で切り上げた。せっかく忘れるために違う事をしているのにまた思い出してしまっては本末転倒だ。
2時間程草むしりをたっさんと一緒にして、お昼にたっさんと一緒に素麺を食べた。
そして用意をして、昴さんと待ち合わせした場所へ行く。
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それにしても今年の夏は暑かった。きっと人生で忘れられない夏になるのは間違いなくって、出会った人達を忘れる事はないだろう。
そう考えたら出会いは全て奇跡だ。出会ってもすれ違うだけの人もいる。そんなすれ違いばかりの世界で、出会えた人達は皆運命と言ってもいい。
待ち合わせ場所には既に昴さんは到着していた。
壁に寄りかかり携帯を見つめる横顔。
帽子を被っていても、サングラスをしていても、マスクをしていようがそのオーラは隠し切れない。背も高いしなんて目立つ人だろう。変装なんて無駄だったんじゃあ…。
「昴さん、目立ちすぎです」
後ろから声を掛けると、サングラスを外した昴さんの真っ黒の瞳がこちらへ飛び込んできた。
「え~?完璧な変装してると思うけど」
お茶らけてそう言った昴さんは黒のキャップを深く被り直した。
「オーラが隠しきれていません…」
「あはは、そりゃあオーラはさすがの俺でも隠し切れないよー。オーラとは内側から溢れ出してしまうもんですからッ」
サングラスを少しずらして、私の方へ視線を合わせる大きな黒目がちな瞳。
それしても綺麗な二重だわ。二重の線が平行になっていて、キリっと上がっている眉毛がとてもバランスが取れている。
なんつー恵まれたお顔だ。