「あいつは子供だからさー…態度悪くって静綺ちゃんに八つ当たりしてしまう事もあるけど…
何かあったら直ぐに俺に言いなよ?俺から真央に言ってあげるから」

「真央は……態度悪くなったり悪態をついてくるほど元気な証拠だから。それにそんな所も私は嫌いじゃない。
寧ろ元気がなかったり全然喋らない方が不安。あの人全部ひとりで抱え込んでしまうタイプだから…
辛い事があるなら言って欲しいのに…力になりたいのに…何も出来ない。」

言った後に気が付いた。これじゃあまるで真央が好きだと言ってしまってるようなもんじゃないか。

「真央はいいな…」

「え?」

「そうやって静綺ちゃんに理解して貰えて、心配してもらえてさ…」

「いや…これは別に真央だから特別って訳じゃなくって…
瑠璃さんや豊さんが元気なくっても心配だし。勿論昴さんだって」

特別じゃない、は嘘だ。私の中で間違いなく真央は特別だ。

そりゃあ瑠璃さんや豊さんや昴さんでも心配はする。けど、私は彼らの繊細な変化に気づいてあげられるだろうか。

気が付けばいつでも真央ばかり目で追っているから、彼の僅かな変化には気づけるのだ。

もうこれに’好き’以外の言葉が見当たらない。

「それなら嬉しいけど。じゃあ明日ね?仕事そのまんまで行くから迎えには行けないけど、待ち合わせ場所まで大丈夫?」

「あ。大丈夫です。あの辺は分かりやすいし、何度か友達とも行った事があるし」

「おけー。じゃあ俺お風呂入るから、また明日ね。」

「はい。おやすみなさい」