…なんて怖い顔。出会った時の真央と同じような顔をする。
美しい顔を歪ませてまるで憎い物を見るような目つきでこちらを睨みつける。

「そんなの…知らないよ…。だって勝手に買ってきたんじゃないのッ。
だって貰えないよ……困るッ」

震える声でそう言ったら、真央は私の腕を乱暴に掴んだ。

そしてそのまま投げ出すようにベッドへ押し付けた。そしてその上から馬乗りになるように自分の体を押し付けた。

乱暴で荒々しくて、そこには私の好きになった真央の優しさは何ひとつ感じられなかった。

「ちょっと!止めてよ!」

ベッドに押し付けられた体に、私の両腕はいとも簡単に彼の片手で押さえつけれる。
足と足の間に彼の足が入ってきて、ジタバタさせてもビクともしない。

けれど私の頬に触れた彼の右手は驚く程優しくって、まるで大切な物に触れるかのように触る。
目の前にある美しい顔に――茶色の瞳が切なそうに目を細めて揺れる。それは瞬きさえ忘れてしまう程の衝撃だった…。


彼の薄い唇が私の唇にゆっくりと押し当てられる。頬を触れる優しいてのひらに似ている、柔らかい唇を押し当てたその様も優しかった。荒々しい態度とは裏腹に――。

ゆっくりと唇を離すと、彼はハッとした顔をしてまた苦しそうな顔をしたんだ。

けれど次に彼の口から放たれた言葉は、心まで凍り付きそうな位冷たい言葉だった。

「もっと…抵抗くらいしろ…」

手首の拘束が緩んだと思った途端に彼は起き上がり、私へと背中を見せる。