「でも昴さんに迷惑になりませんか?週刊誌とか記者に写真撮られちゃったら大変だし…」

次はガンッと壁を蹴る音がして、恨めしそうにこちらを睨む真央の鋭い視線が眼に入った。

「だぁーれも、お前と昴が一緒に歩いてて恋人なんて勘違いするような無能な芸能記者はいねぇよ。
お前なんて一緒に歩いてても妹かなんかに間違われるに決まってる。いやそれどころか女と認識されるかも分かんねぇけどな?」

「何よッ!酷い言い方!」

「勘違いするなって言ってんだ。ぬぁーにが’昴さんに迷惑になりませんかあぁぁぁ?’だ?ぶりっ子口調が死ぬほど気持ち悪ぃんだよ。
自分がどれ程の物だと思ってんだ。
フンッ。俺はシャワーを浴びて着替えてから食事にするからそれまでに用意しておけよッ!!」


それだけ言い残して足音を立てて食堂から消えて行った。
昴さんはそんな真央を見てお腹を抱えて笑った。…何が可笑しいってのよ。

それにしても何あいつの態度。やっぱりムカつく。私何であんな奴の態度に一挙一動しなくちゃいけないんだろう。

あんな言い方をされて…全然女として見られてないじゃん。勝手に意識をしている自分が馬鹿らしくなる。もう恋愛で惨めになるのなんてこりごりなのに。

勝手に舞い上がって勘違いして…傷つくのなんて嫌なのに。

「静綺ちゃん?」

さっきまで大笑いをしていた昴さんが心配そうな顔をして顔を覗き込む。
や、やばい。笑顔作んないと。