「恋だよ。恋~!そんなの恋としか思えないッ」
「恋恋言わないでよ。人から指摘されると更に意識しちゃう…。出来るだけ意識しないように頑張ってるんだから!」
「意識しないように頑張ってる所が既に意識してるしね。いいじゃあ~ん。芸能人なのに芸能人らしくないんでしょ?
告白しちゃえばいいじゃん」
「こ、告白って!無責任な事言わないでよ~…相手は芸能人だよ~…ありえないって」
「だってぇ芸能人なのにわざわざ花火大会に行ってくれたんでしょう?浴衣まで用意してくれちゃって。
わっざわざ静綺の好きだった男に会いに行ってくれて、彼氏の振りまでしちゃって…。そんなの何も思ってない子にしないって前から言ってたじゃん」
「それは…って…あ、浴衣…」
そういえば!今思い出した。
私あいつに浴衣の代金払ってない。確か10万位したって言っていた。
初めは何を余計な事をって思ったけれど…あの深い赤い色の浴衣はお気に入りになったし、素材の良い物だからこの先もずっと着れるだろう。
それに先月のバイト代も入ったんだ。返さなくちゃ。あんな高価な物タダで貰う義理もないわけだし。今度時間の空いてそうな時にお金は返そう。
しかしそれからも数日彼の撮影は忙しそうだった。
2時間ドラマの撮影期間は約2週間ほどらしい。たったの2時間のドラマの為に2週間も時間を掛けるなんて驚きだけど、真央は日に日に疲れが溜まっていっているようにも思えた。
ちょっと心配…。かといって出来る事なんてないんだけど。それにモヤモヤした気持ちがあった。2週間も元彼女と共演…?毎日のように会っていたら、また何かが始まってしまうのではないか。それを咎める資格なんて私にはないんだけど。