緊張すればするほど、表情筋が上手に機能しない。

「元気。静綺も元気そうだね」

にっこりと笑うたっくん。その横で気まずそうに視線を逸らすしおりがいる。
女の子らしくって、白い浴衣がとても似合っていて、私から見ても守りたくなる雰囲気をしている。

「あは、まあ、元気。すごく元気」

「そりゃそうだろ。静綺は元気だけが取り柄だっただろう。」

それはその通りだけど、こっちだけ人間だからへこむ事位はある。

しおりとたっくんを前にして普通にしてられる譲の方がずっと元気そうだけど。何でこの人は平気な顔をして4人で会おうって今でも言えるんだか…。

「あの、静綺…」

気まずそうにしおりが私の名前を呼ぶ。そう言えば話すのも久しぶりだ。

「ん?」

返事をすると途端にしおりは泣き出してしまう。

「あの、私…本当にごめんなさい…」

そう言ってしおりは私へ向かって頭を下げる。その横でたっくんはしおりを心配そうに見つめる。

「え?何で……」

「大学でも静綺…すっごく怒ってるみたいだったから、私話しかけずらくって…
それに静綺の友達も怒ってるよね?結構陰で言われているみたいだから」

「はぁ…?」

その言葉にはカチンときた。私の友達って、それはりっちゃん達の事だろうか。私の友達は陰でこそこそとしおりを悪く言い続けたりしないと思うんだけど…。

けれどその私の言い方がまずかったのだろう。何故か譲が明らかに不機嫌そうな顔をこちらへ向けた。

「静綺、俺言ったよね?しおりを責めるのは止めろって。
それにしおりが悪い訳でもないのにそうやって意地悪な事するのはどうかと思うよ?
だって友達だろ」