譲から待ち合わせの指示があった場所は…よく4人で会っていた花火会場の横にある小さな公園だった。小さな街で普段は人が全然いないこの公園で、4人で語り合っていた頃が懐かしい。

息を切らせてその場所に行くと、真っ白い浴衣を着たしおりとたっくんが寄り添って座り合う姿が目に飛び込んできた。

譲はその場で立っていて、私の姿を発見するとこちらへ向かって名前を呼んだ。

「静綺ー!久しぶりッ!」

「はぁはぁ…譲、久しぶりだね。」

「うわッ。静綺、化粧とかしてんの初めて見たわ」

いや全然いつも化粧していましたけど?確かに今日は瑠璃さんがメイクをしてくれたから派手めではあったけれどさ。

たっくんとしおり、ふたりと目が合うとふたりは少しだけ気まずそうに目を伏せた。いや…気まずいのはこっちだってば…!

それにしても客観的に見たらたっくんとしおりってお似合いだ。身長が丁度良くってバランスが良い。けれど私はあの頃自分と同じくらいの背丈のたっくんがとても好きだった。それに彼の持っているふんわりとした雰囲気も、お洒落が好きでいつも人よりちょっと個性的な服装をしていた事も。

そんな一目惚れだった。けれど不思議な事に今はふたりを見ても、何とも思わなかった。気まずいって気持ちだけが残っていた。

「しおり、たっくん、久しぶり。元気?」

自分では精一杯の笑顔を作ったつもりだったが…譲には「なんて怖い顔してんだよ」と指摘された。

だから来るのが嫌だったのに…。納得がいかない事は沢山あったし、まだまだ4人で仲良くする気もない。けれど、ふたりの事はお似合いだと思うし、私の見えない所でならば幸せにやって欲しいと願っているのに。