「何をしてくれてるんですか…?
私は行かないと言いましたよね?」
「俺も行く………」
「は?!!!?!!!」
今、なんて?
ソファーに座り直して、不敵な笑みを浮かべる。
「丁度暇だったしな。ちっせー街のしょぼい花火を見るのも悪くない。
それにお前だって俺がいれば惨めな思いもせずに済むだろう」
何を…グッドアイディアみたいな顔してんのよ。あんた芸能人なのよ?しかも普通の芸能人とは違う。
悔しいけれど人気俳優なのよ?そんな人混みに行って、もしも誰かにバレでもしたら…。そもそも何で関係のないあんたが来る必要があるのよ。
子供みたいに無邪気な顔をして携帯を弄り続ける姫岡さんを前に、開いた口が塞がらなかった。
「後、一応俺の携帯もお前の携帯にいれておくな。
あ、別にお前の番号が知りたいとかじゃないから勘違いは止めておけよ?
突然の頼み事もあるかもしれねぇから、一応な?瑠璃さんたちの番号だって知ってるんだろ?」
だから…何を勝手に。ますますこいつの考えている事が分からない。
「それにそのたっくんって男には振られて良かったんじゃねぇのか?思わせぶりな事をお前に言っておいてすぐ気持ちが変わるような奴だ。
もしも付き合ったとしても、結局は浮気とかしそうだし。そうなる前に振られておいて良かったじゃん」
「それは…まさに正論だけど…」
「そ、それにお前にもいるかもよ?お、王子様みたいな人が…
案外近くにいてもう出会っていたりして…」
慰めているつもりなのだろうか。悪い人ではないんだけどな…強引すぎる所がちょっとね。