~心愛side~


早いもので、あれから1週間。

パパ達から家を出てすぐ止めどなく連絡がきていた。

だからスマホは解約した。


ママが再婚したのがバレてしまったから。


もう、会えない。


「カチッ····フー····ゴホッゴホッ···」


いつからだろう、パパと同じ香りのするこの煙草を吸い始めたのは···

この香りがするだけで落ち着く。

大好きなパパの香り。

鞄の中には、俊ちゃんの香水、幸ちゃんの香水、修ちゃんの香水が入ってて、いつでも存在を感じられるようになってる。

皆が大好き。



夜、あるところに向かう。


「心愛ちゃん、久し振り。」


「ご無沙汰しております。」


「最近仕事が忙しくて、ごめんね??」


「いえ、ちゃんとわかってますから。」


「心愛ちゃんは本当、優しいなぁ····」


彼は···



「んっ···ハァー····んんっ····」


「ハァー····ハァー····気持ち良かった、ありがとね。」


私のお客さん。


たった1人で生きていく私に、ママはこの方法で稼げと言った。


"売春" "ウリ"


世の中ではそう言われている。


正直こんなことしなくても今は暮らせるくらいの収入はあるけど、人肌がないと眠れない私は、連絡が入るとすぐに指定されたホテルにやってくる。


だいたい7人くらいのお客さんがランダム。

富裕層なのか、月に結構お金を払ってくれる。


「じゃあまた連絡するね??昨日行ったレストラン、気に入ったならまた行こう。」


「是非。ご連絡お待ちしております。」


夜食事をして、朝を迎える。

その繰り返し。

そういえば会いたいって連絡くれる人がいたな···

今日辺り約束つけるか···

滅多に新規の人なんて受け入れないのに、何故だか会いたかった。

それが何故なのかはわからない。



朝、その足である所に向かった。


ブォン ブォン


バイクの音が鳴り響くその場所は、全国No.1の暴走族、龍神の倉庫。


私はここの姫だ。


総長 亮

副総長 充希

参謀 光

特攻 昂輝


この4人は私が追い出されたあの日、助けてくれた人達。

かけがえのない仲間。

誰かと付き合ってるとかじゃない、彼らは私に居場所を与えてくれた。


亮「おう、おはよ。」


「おはよぉ。」


亮「今日バイトは??」


昼間、年齢を誤魔化して昼キャバで働いている。


「今日は休みなの。」


亮「じゃあちょっと光の手伝いしてやってくれ。」


ここでは姫でもあるけど、参謀である光の仕事も手伝っている。

パソコンの何から何までやることができる。



この龍神という暴走族は変わっていて、警察と内通している。

警察で手に追えない案件をこちらに廻し、警察では入り込めないような所に入って情報を仕入れている。

謂わば、裏の警察。

勿論、バイクで集団暴走もするんだけど、ある程度の犯罪は免除されている。


光「心愛、ピーチティー冷蔵庫に入ってるよ。」


「ありがとぉ。」


私の大好きなものをいつも置いといてくれる優しい人達。


「今日····新しい人に会ってくる。」


「「「「·····」」」」


声が聞こえなくて振り向くと、4人ともしかめっ面。


「何??」


亮「···お前···そろそろ止めろよ。眠れないなら俺達が一緒に寝てやるって何回も言ってるだろ??」


「お昼寝付き合ってもらってるじゃん。」


亮「そうじゃねーよ。」


充「夜の話だよ。もう収入的には問題ないでしょ??ここでも稼ぎはあるんだから。本当は、昼キャバだって辞めてほしいって思ってるんだから。」


「ここだけのじゃちょっと生活厳しいよ。」


亮「···まだ金渡してんのか??···母親に···」


「····」


亮「お前はそんなことする必要··」


「あるよ·····仕方ない····」


亮「お前が傷つけられてきたんだろ。」


「私は良いの。もう···あんまり関わりたくないから····お金だけで済むなら····」


本音はそこだった。

出来ることなら、もう会いたくない。

会えば何をされるかわかったもんじゃない。

お金が足りないなら働けば良いだけ。

それだけで、生活の平和が保たれる。