~真吾side~


谷[ココちゃんはそこにいるのか!?]


真「いるけど、ちょっと今立て込んでて···」


谷[大変だ真吾。]


真「何??」


心愛はエレベーターに乗ろうとしている。


真「心愛待てって!!」


腕を掴んだ。


谷[麗華が···]


真「麗華が何??」


谷[再婚してたって··]


真「再婚!?!?」


すると心愛が驚いた顔をして俺を突き飛ばした。


そして···


真「心愛!!!!」


エレベーターの扉は閉められた。


真「おい!!!!心愛!!!!」


中の心愛は···


俺に頭を下げた。

その姿は···

とても小さく見えた。


俊「谷中ちゃんどういうこと!?」


谷[3日後発売の週刊誌で載ってる。本人も認めてるって···3年前らしい···]


真「3年前!?···おいエレベーター早く来い!!!」


心愛は、何で黙ってた···

再婚は、心愛が20歳を過ぎてから。

それを破ったら俺が引き取る。

何回も教えてきたことなのに···


やっときたエレベーターを下り外に出てもマスコミしかいなかった。

すぐに入りポストを開けると、名無しの封筒が入っていた。

それには切手もついていなければ、封もされていない。


俊「···心愛??」


封筒から紙を出した。


"ごめんなさい。

今までたくさんありがとう。

幸せになって下さい。

心愛"



封筒にはまだ何かが入っていてそれを取り出した。


真「···カードキー····」


幸「さっき書いたのかな···走り書きみたいになってる···」


修「···紙···濡れてるな····」


きっと、さっきみたいに涙を流していたんだろう。

点々と、丸い濡れた模様があった。






谷「駅行ったけど、いなかった。」


帰ってしまったことを伝えると、谷中ちゃんはすぐに心愛を探しに行ってくれた。

谷中ちゃんも、心愛をとても大切にしてくれる1人だ。


谷「···真吾、お前麗華に電話したのか??」


真「····してない····」


谷「···そっか···」


したところで、のらりくらりとされるだけだ。


俊「心愛は····その再婚相手と仲良くやってたんだろうか···」


修「·····んなわけねーだろ??···さっきの心愛の様子じゃ····麗華とだってうまくいってねーよ。」


幸「でも、それなら俺達に何か言うんじゃない??心愛と毎日電話とLINEもしてるけど、そんなこと一言も言ったことないよ。」


修「···確かにそうだけど···」


それはきっと····


俊「言えなかったんじゃねーか??····だって···言ったところで俺達と心愛の関係は···誰も知らないことで、あの子は隠された存在だ····心愛は、俺らに言えば何かが変わるのをちゃんとわかってる。だから、言わなかったんじゃないか??」


真「·········結局······頼られることもされない···心愛は····何かを抱えてるってもう何年も思ってた···なのに、聞けなかった····聞いちゃったら····もう会えないようなそんな気がしてた······でも聞いとけば良かった····こんな手紙だけ残して····何が幸せになって下さいだよ····俺の幸せはっ····心愛がいないと成り立たないのにっ···」


悔しい。

毎日のように連絡をとってたはずなのに。

思い返しても、心愛は自分のことを話さないから、何もよくわからない。

たくさん時間を過ごしていたはずなのに···

こんなの、おかしいだろ。


真「····俺····ちょっと出掛けてくる···」


谷「どこ行くんだ···」


真「決まってんだろ、心愛に会いに行くんだよ。新幹線で···」


谷「駄目だ、熱愛報道が出たばっかりだ。迂闊に外なんて出たら··」


真「そんなの知ったことじゃねぇ!!!だいたいこの熱愛報道だって···ただの仕事じゃねーかよ····誰1人として付き合ったことなんてない。俺は、いつか絶対に心愛と暮らすんだってずっと頑張ってきたんだ···こんなことするために音楽やってんじゃねーよ!!!」


俊「····心愛も···信じちゃってるしな···」


修「そこがでかいな、心愛はこれが仕事だなんて思ってないから···」


真「···どんなに否定したって信じないし···それに、心愛は嬉しそうにしてる···それが俺の幸せだって思ってる····とにかく早く行かなきゃ····」


きっと取り返しのつかないことになってしまう。