~修一side~


ゼロゼロ ゼロゼロ


聴診器の向こうから聞こえる心愛の肺の音。

今日は思わしくないなぁ···

本人は、当たり前になってて苦しいとか言わないけど、本来なら結構ツラいと思う。


修「···」


俺の険しい顔に、真吾達は心配そうな顔をしていた。

当の本人はウトウトしていて気付いてない。


修「心愛、今日の予定は??」


「今日はぁ······倉庫行かなきゃいけない。」


修「それキャンセル出来ないか??」


「んー···だめぇ??」


修「あんまりなぁ···今日は俺ら打ち合わせだし、一緒に行こうか??発作が出るとちょっとな···」


真「結構ヤバイ??」


修「ヤバイな···発作にならなきゃ良いけど···」


真「心愛、パパとお仕事行こうか。」


「お邪魔になっちゃう。」


真「ならないよ。事務所で打ち合わせなだけだから。」


「んー····わかったぁ····ゴホッゴホッ···んー···」


修「体調悪いか??」


「平気だけど、動きたくない。」


俊「それダルいってことじゃねーの??」


「よくわかんない。」


真「·····あんま···そういうの感じないようにしてたのかな····」


ボソッと言った真吾の頭を撫でた。


修「よし、飯食べたら支度な。」


「あんまり食べたくない。」


やっぱ体調が悪いか···


修「じゃあヨーグルトと、フルーツにしよう。」


「パパ···せっかく作ってくれたのにごめんなさい。私のもう作らなくていいよ??」


真「何言ってんだ。食べれなくても良い。食べれる時に食べたら良いんだから···余計なこと考えるなよ??パパは心愛がごはん食べれなくても、怒ったりしないから。」


「ごめんなさい···」


真「良いよ。」




ヨーグルトもフルーツも、全部は食べられなかった。

歩く速度もいつもよりゆったり。

でも、苦しいとは言わない。

事務所では、端の方に膝掛けをして座っていた。

最初はスマホを弄っていたけど、そのうちボーッとしていた。


修「····心愛、大丈夫か??」


「うん···ちょっとお水買ってくる。」


真「パパも行こうか??」


「んーん。」


心愛が外に出ていくと、外が騒がしくなった。


谷「ちょっと見てくる。」


谷中ちゃんが出てすぐ戻ってきた。


谷「真吾っココちゃんが!!!」


4人で外に出ると··


「やだっ離してぇ··」


「心愛!!!俺の話を聞いてくれ!!!」


「ふぇぇ···ぱぱぁ···」


真「心愛!!!おいってめぇ俺の娘を離せ!!!」


修「お前は·····heart loverのベース??」


翔「···中瀬翔です····あの···もしかして真吾さんの娘って心愛なんですか?!」


真「そうだけど···お前こそ知り合いか??」


heart loverは、事務所が同じでよく共演する。

まぁ俺は接したことないけど。

真吾達も業界に親しい人間はいないから、顔見知り程度だろう。


翔「俺は····心愛と付き合ってて···」


「付き合ってない、別れた。」


翔「だから俺は別れたつもりはないって何回も···」


真「もしかして昨日言ってた奴??」


「うん···」


酷いこと言った奴!!


修「心愛こっちおいで。」


そういうと俺にしがみついてきた。


「ゴホッゴホッ····お水飲みたい···」


修「俺と買いに行こう···真吾、どうにかしとけよ。」


翔「心愛っ··」


修「心愛に近寄んな。」


心愛を抱き上げ自販機に向かった。


「修ちゃん···」


修「ん??」


俺の首におでこを当ててる心愛に優しく返事をした。


「····好きだよ···修ちゃんのこと、大好きだよ??」


修「!!!」


「···昨日はちゃんと言えなかったから···」


修「···俺も好きだよ。」


「···翔くんのことは、今は何とも思ってないし、修ちゃんのこと大切にしたいと思ってるからね??」


少し不安を感じたけど、大丈夫そうだ···


修「ありがとな。」


「うん。」


首に軽くキスされた。


「えへへ···」


かわっ···


修「そういう可愛いことは、お家でお願いします。」


「はぁい。」


修「心愛···余所見すんなよ??」


「修ちゃんがいらないって言うまで、私は傍にいるよ。」


んなこと言わねぇ。

まぁ何にしても····

これから何も起こらないと良いんだけど···


修「来月はクリスマスがあるなぁ??」


「うん。皆コンサートだねぇ。」


修「そうだな···2日ともコンサートだけど、その後なら病院も暫く休みに入るから、どっか行こうか??」


「楽しみにしてるね??」


カレカノになって初めてのクリスマス。

家族としての時間、俺達の時間、全てが充実した幸せな時間になっていったらなと思う。

心愛がいたら、俺達は何だって幸せに感じられるんだって、これからも伝えていこう。