真「心愛、頑張ろう??パパずっといるよ。」


手を握ると渋々了承した。



「ゴホッゴホッゴホッ····ゴホッゴホッ···」


抑えるはずものなのに苦しそうだ。


修「これすれば、発作は出にくいから。」


真「でも···」


修「吸入は····心愛にしたらただの苦しい嫌なものでしかない。終わってみれば少し楽だなって思うくらいで···それだけ心愛の喘息は進行してるんだ。少しでも状態を良くしていかないと···」


生理的な涙を流し、机にうつ伏せになった。


「ゴホッゴホッゴホッ···ゴホッゴホッゴホッゴホッ···」


俊「心愛、涙拭こうな。」


「ヒック····ゴホッゴホッ···」


幸「あんまり喉冷やさない方が良いんだっけ??」


修「あぁ。」


幸「温かいピーチティー用意しとくね。」


俺はただ背中を擦り手を握ることしかできない。


修「はい···終わりな。」


「うぅ···」


泣きながら俺にしがみついてきた。


真「よしよし、よく頑張ったな。」


修「·····んー····喘鳴消えないな····時間を変えるか····」


修一もまだ手探りだと言っていた。

何が合って何が合わないか、今はそれを調べる段階。


幸「ほら心愛、ピーチティーだよ。」


「あり··がと····」


ティーカップを持つ手も震えている。

体力はけっこう消耗されてるんだな····

そこに修一がそっと手を添えて支えた。


修「両方とっての付いたマグとか売ってねーのかな??その方が安定するし。」


真「あるんじゃねーか??明日百貨店で見てくるわ。」


俊「そうしろよ。」


そう平和的な話をしていた1週間後、俺は人生最大の驚きで目玉が飛び出るかと思った。




その日の夜、3人で仕事を終え静かにマンションに入った。

遅かったし、心愛は物音に敏感だからと思ってのこと。

リビングの電気がついていたから修一かと思い覗くと、何やら修一が心愛を抱き締めて何か言っていた。


俊「ちょっと開けてみようぜ。」


そっと扉を開くと····


修「俺、この恋は最初で最後だから···家族としての時間も真吾達に感じて欲しいし、俺も感じたい。だから、ゆっくり2人で育んでいこうな。」


え····


見つめる2人の距離が縮まり····


チュッ


修「柔らか········照れる···」


「顔赤いよ??」


照れた様子で微笑む2人。

いやいや待って····

また近寄って····


真「ひぃぃぃぃ!!!!」


「「!!!!」」


俊「うるさっ!!!」

幸「良いところだったのに!!!」


「パパ!?」


真「待て待て待て待て!!!お前っ!!!何がどうなってそうなった!!!この糞が!!!!」


片手で心愛を抱き上げ修一から離し、片手で胸倉を掴んだ。


修「いや待って落ち着けって···胸倉離して??話すからちゃんと!!!絞まってるっ···絞まって··」


俊「真吾落ち着けって。」


「ぱぱぁ、落ち着いてぇ??」


心愛に両頬を包まれた。


「怖いお顔しないで??」


真「ごめん心愛、怒ってないよ??心愛には怒ってない。」


修「俺に怒ってるだろ!?」


真「怒ってるよこの獣!!!座れ、お前床に正座しろ。」


「はーい。」


真「心愛は座らなくていいの。心愛はソファーに座ろうね。」


抱っこしたままソファーに座り、修一は俺の前に正座した。

するとポツリポツリと話し始めた。


修「·······自覚してから····何回か告白してまして···」


「「「はぁ!?」」」


初耳だ。


修「ずっとフラれてたわけなんだけど、毎日努力して意識してもらえるように頑張って··」


俊「そんな素振りなかっただろ??」


修「家族でいる時は家族の時間だ。俺はそこはメリハリつけたいから····それで···今日っていうかさっきまた告白して····そしたら受け入れてもらえてさ····その···」


真「照れるなよ!!」


修「付き合うことになって·······真吾···俊樹、幸也·····心愛のこと···凄く大切にする。家族の時間も大切にする。だから····認めてください!!!!」


頭を深く下げた。


「···パパ??」


真「ん??」


「····私····来年····死んじゃうかもしれないでしょ??だから···恋人とか作れないと思ってたし、こんな汚い身体してるから···好きになってくれる人なんていないと思ってて···」


心愛は、麗華に呪いをかけられたままなのか····


「···それでもね、修ちゃんが毎日私にたくさん想いを伝えてくれて···何もかも気にならないくらい知らない間に好きになってて···だから····」


真「わかってるよ。コイツが心愛を大切にしてくれるのも、心愛がコイツを好きなのも、わかってる。パパはね??こんな怒って嘘だと思われるかもしれないけど、任せられるのはコイツしかいないと思ってた。」


「「え???」」


俊「そうだなぁ···どこのかわからねぇ馬の骨にやるくらいなら····ちゃんとわかった相手が良かったな。」


幸「お似合いだと思うよ。」


「釣り合わないと思うけど····」


幸「そんなことないよ。2人の空気、俺は好きだよ。」


確かに、穏やかな空気だったな。