~心愛side~


退院して、修ちゃんとアパートに帰ってきた。


修「俺の車だけで荷物いけそうだな。」


「服とかしかないからねぇ。」


修「ファー····眠てぇ。」


「大丈夫??寝る??」


夜勤明けの修ちゃんと一緒に退院して、アパートに戻った。


修「んー、ちょっとだけ寝ようかな。」


「お布団敷くね。」


修「自分でやるから。お前はまだ重たいもの持ったら駄目だぞ??」


修ちゃんが押し入れからお布団出した。


修「ハァー····心愛ぁ、おいで。一緒に寝よ。」


低くて優しい声。

修ちゃんは、初恋の人だった。

昔からパパ達より長い時間を一緒に過ごしてきた。

修ちゃんはパパ達と違ってテレビのお仕事はしてないし、医大生として忙しくても、私がいる時はいつもいてくれた。

でもその傍にはいつも違う女の人がいたように思う。

よくいろんな女性の香りを纏っている修ちゃんに、幼ながら叶わないことがわかっていた。


「修ちゃん、私夜から人と会いたいからまた明日お家行くってパパに言っといてくれないかな??」


修「誰に会うんだ??」


「んー····亮と会う。」


修「·····お前、もっとましな嘘つけよ。」


ギュッ


修「男に会うのは許さねぇ。」


「修ちゃんこの間から···」


スマホを触っていても男かと言われるし、最近修ちゃんはそういうのにパパ達より厳しい。


修「好きなんだ、お前のこと。」


「··········ん????」


修「お前のこと、家族としても大事に思ってるけど····1人の男として····お前を守りたいんだ。俺の彼女になってほしい。」


お互い寝転び近い目線。

修ちゃんが真剣に言ってるのはわかった。

でも····


「えっ···あ···え??」


テンパる。


修「顔真っ赤だぞ。」


「しゅ、修ちゃんが変なこと言うから!!」


修「真剣だよ。」


だからテンパってるんだよ!!


「えっと····だ、駄目だよ付き合えない。」


修「·····」


「修ちゃんはもっと素敵な女性が釣り合うし、私みたいないろんなもの背負った女じゃ駄目。それに、私15歳だよ??」


修「釣り合うとかそんなのはお前が決めることじゃねぇ。それに、俺は心愛の背負ってるもの全てを一緒に背負いたい。」


「だ、駄目だって。今は···なんて言うか···いろんな話ししたから感情移入しちゃっただけだよ。ちょっと冷静になったら···」


修「俺の気持ちは勘違いなんかじゃねぇ。俺が初めて好きになったのがお前だ。」


「初めて···??」


修「俺は···俺らは···自分を見てくれる人なんていなかった···いつも自分に付属する何かに魅入られた奴ばかりで···でも心愛は···俺を真っ直ぐ見てくれる。」


「···だって修ちゃんは····赤ちゃんの時から当たり前にいてくれて···」


ドラムを叩く修ちゃんも、お医者さんの修ちゃんも、ただの付属で、修ちゃんは修ちゃんだった。


「これからちゃんとそういう人が修ちゃんに現れる。修ちゃんが私にそう言ってくれたみたいに···」


修「お前の全てを受け入れる男は俺だ。俺を見てくれるのは····お前だけだ。他の奴なんかに渡さねぇ。俺は真剣に言ってんだよ。」


「····気持ちだけ受け取っとくね。ありがとう。」


修「····俺は諦めねーから。」


「ん、わかったよ。」


修「流すなよ。真剣に考えろよ??」


「わかったよ。わかったから、寝ようか??」


修ちゃんの傍は落ち着く。

でも、それはパパ達と同じ安心感。




数時間して起きると修ちゃんはまだ寝てた。


短髪の髪の毛は、お仕事の時は立たせてる。

パーツが整ってて、4人ともそうだけど年齢不詳。


ピリリリリ


「はい、もしもし。」


[心愛ちゃん??今日ホテル待ち合わせで良いかな??]


「はい、大丈夫です。」


彼は、40代の会社役員さんの彰さん。

とても優しくて、この人が修ちゃんにちょっぴり似てる。


彰[夕方でまだ早いけど、ロビー待ち合わせね。]


「わかりました。」


起きたし支度をしよう。

メイクをして、着替えて、セットして···

修ちゃん寝てるし、手紙を書いておこう。


"◯◯ホテルに行ってきます。

また明日ね。 心愛より"



これで大丈夫。

ホテルへと出掛けた。