~心愛side~


亮からのキャッチをすぐに切り、煙草を吸おうと火をつけると、目の前に急に黒のワゴン車が停まった。


「わっ!!!」


龍神関連かな??

姫って狙われやすいからなぁ···

亮達に渡されたピアスの発信器をオンにしたところで、扉が開いた。


「パパ···」


顰めっ面で急に抱き抱えられ、誰が見たって誘拐だよ。



ピリリリリ


亮か···


「もしも··」


亮[おい無事か!?!?]


「うるさっ···」


大声が聞こえてきて、パパ達も少し驚いていた。


「声大きいよぉ。」


亮[バカお前!!!発信器ついてんぞ。]


「あぁ···ごめんね、誘拐されるかと思ったから思わず押しちゃった。今止めるね。」


亮[どこにいんだよ。何かあったのか??]


「んー、パパに捕まっちゃった。」


亮[なんだ、バレたのか??]


「まだちゃんとではないけど···」


亮[今日どうする??来るなら迎えに行ってやるよ。確かお前の家と倉庫の間だよな??]


「そうそう、じゃあ迎えに来て??んー、今5時だからなぁ··何時に来てくれる??」


亮[8時くらいなら行ける。]


「8時ね、わかったぁ···じゃあ後でねぇ。」


そのまま電話を切り、そう言えばパパ達がいたんだったと思い出した。


真「誰だ??男みたいだったけど···彼氏??」


「彼氏じゃないよ、友達。」


真「友達···??····迎えにくるとか言ってたけど、今日は休みだから帰す気ないぞ。」


「それは困るよ、今日はバイトもあるし···」


俊「年誤魔化してやってんのか??」


「うん···」


修「何のバイトだ??」


「·····」


幸「心愛、教えて??」


「····昼キャバ····」


真「········酒飲んでんのか···」


「·····それが仕事だよ···」


真「·····仕事···昼キャバと···夜のやつ??」


「あともう1つしてる。」


真「何してるの??」


「んー····パソコンでちょっとやってるだけ。」


真「····そっか···給料は月にどれくらいあるんだ??」


「·····内緒。」


真「何で??」


「·····何で??」


真「え??」


「パパも···お金欲しいの??」


真「·····は···??」


「···ママにたくさん渡してるから···パパにまであげれないよ····」


真「·····心愛···お前ママにお金渡してるのか??」


「うん······悪いことしたから····」


俊「····いくら渡してるんだ??」


「90万くらい···」


「「「「90万!?」」」」


真「···ちょっと····いったいどうなってんだよ····」


そうこうしてるうちに、マンションに着いた。

歩けるのに、パパに抱っこされた。


「わっ···パパ歩けるよ。」


真「すぐ逃げるから駄目。それに····昨日のなんか護身術??凄かったけど、習ってるのか??」


「ううん。教えてもらっただけ。」


何かと危ないことも多いからねぇ。




もう2度と来ないと思ってた。

また来るなんてなぁ···


俊「腹減ったぁ。」


幸「何か作るよ。」


「幸ちゃん、私が作るよ。」


ご飯はある。

味噌汁、卵焼き、サラダ、お魚も焼こうかな···

何の味噌汁にしようかなぁ···

味噌汁を作っていると、静かなのに気付いた。


「「「「スー····スー····」」」」


「寝てる····」


ダイニングテーブルにうつ伏せになって、眠っていた。

昨日は多分徹夜だっただろう。

毎日休みなく働いてるみたいだし···

疲れるよね···

膝掛けを4枚持ってきて、背中にかけた。

朝ごはんの支度だけしとこう。



「出来た。」


起きるかと思ったけど、深く眠ってるみたい。

ふとテレビを見ると、その前に写真があった。

小さい時、5人で撮った写真····

この頃が1番幸せだったな····

そっと抜き取り、手帳に挟んだ。

私はパパ達との写真が1枚もないから···


「···」


サラリとパパの髪の毛を撫でると、くすぐったそうにしていた。

4人共、整った顔をしている。

女の人だってほっとかない。

皆私のことを優先にしてくれるのは、ずっとわかってた。

でももう、それは終わりにしようね。

幸せになってね。


玄関で靴を履いていると、


真「心愛どこ!?!?心愛!!!」


見つかる前に出なきゃ。

静かに玄関を開けて出た。