~真吾side~


「··嫌わ····ないで···」


そう涙を流し眠りに落ちた。


俊「···修一···さっきの···」


修「·····心愛から聞いてみないとわからないけど····ここにある薬はピルと、精神薬ばかりだ····何かしらの精神的な病気にかかってるんだろうな····様子からすると····パニック障害か···最悪な場合だと····PTSDか···」


幸「何それ??」


修「正式名称は、心的外傷後ストレス障害······強烈なショック体験とか、強い精神的ストレスが心のダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じたりすることだ····このくらいの年齢の子がなるとしたら、幼い頃からの積み重なる虐待とか···考えたくはないけどレイプとか·····とにかく本人の心の領域を越えた何かが起きたってことになる····俺らの想像の域を越えた何かが···心愛には起きてたのかもしれない···」


こんな小さな身体に何を抱え込んでるんだ····

とにかくベッドに寝かせようと抱き抱えると、あまりの軽さに驚いた。


真「····何だよ····どんな生活してんだよ····」


こんなことをするくらいだ、きっとお金に困っているはずだし、だいたい本当なら中学3年生なんだ。

働けないしお金がなくて当たり前だし、ちゃんとした所に住んでるのかも怪しい。


ベッドに下ろそうとすると、俺の服をギュッと握っているのに気付いた。


真「····」


眠りながらも涙が流れている。


真「·····谷中ちゃん····」


谷「···何だ??」


真「···心愛をうちで暮らさせたい。お前らはどう思う??」


俊「心愛は俺らの家族だぞ。」


幸「そうだよ···4人で心愛を支えてあげようよ。」


真「····修一····」


修「俺が主治医になる。喘息は専門だし、精神科の資格はないけど、心療内科ならなんとかなる····心愛の全てをサポートする。」


真「····ありがと····」


谷「····ココちゃんは俺にとっても姪っ子みたいなもんだしな····公表するのもそうだけど、一先ずはココちゃんと話さないとな···」



それから1時間、心愛は眠り続けた。


ピリリリリ


それを止めたのは心愛のスマホだった。


「んぅ······はい·····ハッ····ごめんなさいっえっとどこのホテルでしたっけ·····いえ近くにいます!!すぐ伺いますね、少しお待ちください。」


飛び起きて鞄に荷物を詰め込んだ。


真「心愛!!」


「うわ時間5分前····」


財布から万券を何枚か出した。


「ここの半分くらいにはなると思うから。」


真「そうじゃなくてっ··」


「修ちゃん、薬飲ましてくれてありがと。皆も···驚かせちゃってごめんね···私は1人で平気だし、ずっと1人でやってきたから大丈夫。テレビで応援してる。」


真「待って!!!!」


ここで逃がしたら、きっともう駄目だ。


ギュッ


真「頼む心愛行かないで··パパから離れないで···」


「本当·····ごめんね。」


足元を崩され、腕を捻られた。


真「!!!」


あまりの早さに動けなかった。


そして、トンと背中を押され心愛は部屋から出ていった。


俊「くそっ心愛!!!!」


俊樹と修一が追いかけて行った。





俊「···ごめん、行っちゃった。」


修「でも、明日連絡くれるって言ってたから····待とう。心愛はちゃんと守る。」


不安を抱えたまま朝を迎えた。


谷「ここにいても仕方ないからチェックアウトしよう。車で待っててくれ。」


地下の駐車場へ行き、車で待機していた。


それから自宅へ向けて車は動いた。



ピリリリリ



真「非通知だ····もしもし····」


[···もしもし···]


真「···心愛····何で非通知??番号···教えてくれないのか??」


[····]


真「········今どこにいるの??」


[···外····歩いてるの。]


真「····」


ふと外を見ると····


真「!!!!」


心愛がスマホを耳に当て、早朝の外を歩いていた。

人はあまりいない。


[あ、キャッチ入ったからまた連絡するね。]


真「あっ····谷中ちゃん!!あそこに心愛がいる!!回り込める!?」


ジッと様子を見ていると···


修「あ···煙草····」


耳に当てていたスマホはすぐ鞄に仕舞われ、煙草を取り出し火をつけた。


真「早く行って!!!!」


交差点をUターンして心愛が横断歩道を渡る前に車を停めた。


「わっ!!····パパ····」


すぐに抱えて中に入れて車を発進させた。

傍から見たら、誘拐したと思われたかもしれない。


「わわっ!!危ないよっ···」


煙草を高くあげて非難した。


俊「はい煙草回収。」


「ちょっ···ハァー···誘拐で通報されちゃうよ。」


谷「大丈夫、誘拐じゃないから。」


「そうなんですけどさ···ゴホッゴホッ··ゴホッゴホッゴホッゴホッ··」


修「お前、煙草吸ってるからあんな音してたんだな?怒るぞ?」


「もう怒った顔してるよ。」


修「あのなぁわかってんのか??喘息は··」


ピリリリリ


心愛のスマホが鳴った。