約束を取り付け、ホテルをとった。


谷「まさかココちゃんが都内にいるなんて···」


心愛は、都内から新幹線で1時間程の所に住んでいると思っていた。

でもどうも、都内に住んでいるらしい。

その実情もわからない。




ホテルで不安な気持ちを持て余して待っていた。


俊「俺と修一は廊下で待ってるな。逃げるかもしれない。」


確かに、逃げられるわけにはいかない。



ピーンポーン


そっと扉を開くと、そこには見たこともない心愛が立っていた。


黒かった髪の毛は明るい茶色になっていて金髪みたいなメッシュが入っている。

メイクも濃く、いつもフワフワした可愛い服を着ているのに、今はタイトな体型のわかる服で、真っ白なスラッとした足がミニスカートから存分に出されていて···

我が子ながら、かなりスタイルが良い。

男なら、きっとクラっときてしまうんじゃないだろうか····

それを狙ってるのかな····


「!!!·····パパ····」


かなり驚いた顔をしていて、すぐに逃げ出そうとした。

廊下には俊樹と修一がいてくれたから良かった···




話しているのに、突き放されるばかりで話しにならない。

ただ、心愛が····

もう俺と時間を過ごす気はない。

それだけはわかる。

どうやって心愛のことを忘れろと言うんだ。

産まれてからずっと、心愛のいない生活なんてあり得なかった。

心愛のことを考えない日なんてなかった。

そもそも親権だって、俺が取れるはずだったのに···

まさか幼児の大半が母親にいくなんて知らなかった····

麗華は、心愛が産まれた時から心愛に関心を示さなかった。

母親として欠落している。

それは早くからわかっていた。

だからこそ、ずっと心配だった。

面会が出来るようになり、見た感じ怪我もしてなかったし、笑顔が見られたから安心してたんだ····

なのに····



「パパ離して??帰れないよ。」


真「嫌だ···パパ離れたくないっ···心愛といたいっ···」


ただ涙が出る。

心愛は、それを優しく拭ってくれる。

この子は、変わってなんかいない。

本当に優しくて、良い子なんだ。

きっとこうやって突き放すのも、冷たく言うのもわざとで、自分から嫌われようとしているんだ。

それはわかるのに、言葉がうまく出てこない。


「······昔と····逆だね····」


ふいに、心愛が懐かしそうな顔をした。


「·······小さい時···パパがお仕事行くの寂しくて···足に掴まって泣いてたね。」


"ココちゃんパパといたいっ··行かないでぇっ"


よくそう泣いてたな···


「····最後の日も······パパは····絶対に迎えに来るから、良い子にしててねって言ってたね···」


真「ここ····」


「····私は、1人で良い。期待したって···待ってても····最後は結局捨てられちゃう。」


真「パパは心愛のことを捨てたなんて思ってない!!チャンスがあれば絶対に一緒に暮らしたいって思って···」


「それはもう····いいから。」


真「·····なら····せめて····連絡先とか····今住んでる所とか···お金とか···何でも良いからこれからも会ってほしい。」


話してもらえないなら、途絶えさせないためにどうにかしたい。


「····会わないよ。もう····今日で最後。こういう形でも会わない。何もしてくれなくて良い。もししてくれるって言うなら····忘れてほしい·····パパは知らないことかもしれないけど····もう私パパとママの戸籍からも抜けてるの····」


真「何で····未成年のお前がそんなこと出来るわけないだろ??」


「後見人がいるから····」


修「後見人は親を亡くしたりした人達のものだろ??親権は麗華がちゃんともってるんじゃ···」


「···放棄したの。もうずっと前····今親権はどちらにもない。後見人の人が私の親みたいなものだから···」


真「何でパパに何の知らせもないの??おかしいだろ。普通そういうのは双方の確認があるんじゃ···」


「····弁護士さん、ママの彼氏だったからそういうの言わなかったんじゃないかな···後見人の人も····ママの前付き合ってた人だし····」


真「·····そんなバカみたいな話し····ありえねーだろ····親権はパパが持つ。」


「いい。」


真「全然良くねーよ!!!こんなのおかしいっ···俺は心愛の本当の父親なのに、ちゃんといるのに····」


「····何にもしなくて良い。とにかく、関わっちゃいけないから····」


俊「帰ろうとするな。今日は···ここから出さない。」


「何言ってるの····私次のお客さんが···」


修「んなもん駄目だ。心愛、もうこんなことやめろ。」


「····」


修「こんな安売りしちゃいけない、変な病気をもらうこともあるし、避妊だってコンドームだけじゃ確実じゃないんだ。傷付くのはいつだって女の子なんだぞ??」


「·····ちゃんとピル飲んでるし、検査も月1でしてるよ。」


修「ピルなんて未成年に出されない。親の同意がいる。」