「俺が、言えないでしょ。

そりゃ、君の全てが
俺のものになればいいのにって思うよ。

でも、そんな無責任なことは言えない。
だったら、
カナちゃんが、俺以外の男に気持ちが向くのは仕方ないよ

君を束縛する権利、俺にはないから」

高科は、カナの頭を撫でながら、大きくため息をついた

「・・・高科さん、私の事、好き?」

高科の胸の中で、尋ねる


「・・・一回しか言わないから、よく聞いて。


カナちゃん、愛してるよ」




「えっ、もう一回、言って」

カナは顔をあげ、聞く

まさか、そう言ってくれるとは
カナは微塵にも思っていなかった。

胸が熱くなる。


そのカナの口唇を、高科は自分の口唇で塞いだ


「・・・こんな大事な言葉は、
俺は何回も出せないの。

だから、一回しか言わないって言ったでしょ」

優しく微笑む

「・・・お願い、言って」
カナはもう一度お願いする。

心に刻みたい。そう思ったから。

すると、高科は、カナの顔を自分の胸に押し付けて


「愛してるよ。すごく」

そう、囁いた。


・・・嬉しい。


「私も、愛してる、高科さん」

二人はもう一度口付けた。




この時、カナは、漠然と襲う不安に恐怖を覚えていた