カナは、高科と同じ時間、
同じ空気を感じているだけで幸せだった。

別に、奥さんと自分を天秤にかけて、
自分を選んで欲しいとか、
これっぽっちも思っていなかった。

それに、高科は、
ちゃんと、言ってくれた。


「離婚は、できないから。
おれは、ずるいね。ごめん。

でも、カナちゃんへの気持ちは、
自分でも信じられないくらい
抑えることが出来なかった。

どうしても、伝えたかった。」