30分ほど車を走らせている間、ほぼ無言だった。

カナは、何かしゃべろうとしても、
口から心臓が飛び出そうな感じがして、しゃべれなかった。

「到着。」


高科が連れてきてくれたのは、街から少し外れた小高い山の上だった。

降りると、辺りは誰もいなく、
そこの展望台までの足元も舗装されていないような場所だった。


「足元気をつけて」

そう言って、高科はすっとカナの方に手を出してきた。

カナはぎこちなく、そこへ手を伸ばした。

高科がぎゅっとカナの手を握った。

暖かい、優しい手に、カナはどうしていいのかわからず、
舗装された場所に着くと、急いで手を離した

小さな展望台の頂上に上ると、想像以上の夜景がそこには広がっていた。