車で小一時間程走らせた、海沿いの展望台に到着した。
もう夜中の1時近く。
辺りに誰もいなかった。
展望台といっても、階段つきの大きなジャングルジムのような
粗末な造りの頂上に上りきって、辺りを見回すと、
眼下には黒い夜の海と遠くにビル街の明かりが広がっていた。
「うわぁ。綺麗!」
「本当だね」
カナは、寒さも忘れて、高科の隣で夜景に見とれていた。
すると、マスターが電話がかかってきたと言って、
一旦下の車に戻っていき、
突然、二人きりになった。
カナは、突然の二人きりの状況に、
一気に緊張してしまい、
この緊張を高科に気づかれたくなくて、
夜景に見惚れるフリをしていた。
その時、
景色を見ていたカナと高科の視線が不意にぶつかった
ただ、それだけだったのだが、カナの心臓はドクンっと高鳴った