息を落ち着けて、バーの扉を開ける。
「カナ~待ってたよ~高科さんが」
マスターが言う。
「馬鹿野郎!テッペイ!」
テッペイとはマスターのことだ。

高科がマスターからからかわれたので、言ったのだ。

「お久しぶりです。高科さん」
「お久しぶり、カナちゃん」
高科はビールを飲んでいた。

高科の隣に座る。
「カナちゃん、晩飯食べた?」
時刻を見ると9時前。
ぼーっとしていて、慌ててきたので食べていなかった。

「まだです」
「食事にいかない?」

思いもかけない高科からの誘いだった。

ニヤニヤしながらマスターがカナと高科を見る

「いきますっ!」

「じゃあ、俺の知り合いの店に電話するからちょっと待ってて」

高科は店の外へ携帯を持って出て行った

やった!!!
カナは心の中でバンザイと飛び跳ねていた。
多分顔が笑っていたのだろう。

「よかったじゃ~ん。カナ」
マスターが話しかける。
「からかわないでよ。」
「でもさ・・・」
マスターが何か言いかけた所で、扉の向こうから高科が戻ってきた。
「お店開いてたから、行こうカナちゃん。テッペイ、また戻ってくるよ」
そう言って、バーを後にした