あのホスト番組を消してから、数ヶ月が経った。
 あたしは、彼のことを、きれいすっかり、忘れてしまった。
 そんな、あたしは、静岡で暮らす、元夫の所に、息子と2人移住しようと思っていた。
 そして、旅立つ前に、思い出を作ろうと
、毎日のように、女子会をして楽しんだ。
 そんな、ある日、いつもの女子会で、ホストクラブの話で、盛り上がった。
 「(ホストクラブかぁ〜…。)
(懐かしいなぁ…。)
(もう、何年も行ってない…。)」
 ホストクラブに行かなくなって数年…。
 夜の仕事を卒業して、1年半…。
 あたしが、色々、思い出に、浸っていると、女子会メンバーで、ホストクラブに行くことになった。
 移り変わりの激しい、夜の世界…。
 当然のことながら、この時の夜の情報は、全く、なかった。
 女子会メンバーに、「どこのホストクラブに行くのか?」聞いてみた。
 そしたら、全員固まった…。
 あたしは、詳しく聞くと、全員が、ホスト初心者…。
 ホストクラブ初心者を連れてくのに、何の情報もないのは不安で、情報を集めることにした。
 「(夜の情報誌と言えば、Fun!!)」
 そう思って、Mちゃんの車で、コンビニに行った。
 だけど、発刊されてすぐに、なくなったしまう程の、人気雑誌…。
 「(発売当日なら、あるだろうけど…。)
(違ったら、どこかに探しに行かなきゃ…。)
(どこが、あるかな…。)」
 なんて考えながら、コンビニに行ってもらった。
 コンビニに行くと、情報誌は、沢山あった。
 「(発効日、今日なのかなぁ?)」
 あたしは、一冊持って、Mちゃんの車に戻った。
 それから、情報誌をパラパラめくった。
すると、知り合いは、1店舗に1人の割合で、バラバラになっていた…。
 「(こんなに、バラバラになってるなんて…。)」
 あたしは、悩んだ末、情報誌の最後から選ぶことにした。
 この時、あたしは、なぜ、最後から選んだのか、理解できない行動をとった。
 最後から、選んだ事ないのに…。
 この時、最後に載っていたのはE店…。
 そこには、知っている人が、2人いた。
 「(ちょうど、知り合いがいるから、ここでいいか…。)」
 open時間と、TAX込みの料金を聞くために、電話すると、つながらなかった…。
 その次に載っていたのは、S2店だった。
 あたしは、載っている人達を見て、見覚えのあるような人達だと、そんな気がしていた。
 それでも、「(気のせいか。)」と思い、電話した。
 この時、もっと、思い出せば、このお店に行くことはなかった。
 そう、このS2店こそが、あの消した番組の舞台となった店立ったのだ…。
 つまり、彼の働いてるお店…
 気付かなかった、あたしは、電話の対応、時間、料金が、良かったので、ここに行く事にした。
 情報誌の地図を頼りに、S2店に辿り着くと、お店の上に、大きな看板が飾られていた。
 その看板には、何人かのホストが、写っていた。
 その中に、彼も写っていたけど、写真写りの悪さで、気付かなかった。
 店内に入ると、ボーイさんが、席まで案内してくれた。
 座った順は、奥から、Yちゃん、Mちゃん、Kちゃん、あたしの順だった。
 ボーイさんが、身分証の提示をお願いに来たが、あたしが忘れていた。
 「(帰らされるかな?)」と思ったけど、OKが出て、新規説明が、始まった。
 それぞれ、飲み物を頼むと、名刺を持った、ホスト達が、アピールしに来た。
 「あたし以外は、ホスト初心者です。」と伝えていたにも関わらず、何営希望かを聞く、ホスト達…。
 あたし以外の子は、きょとん…。としていた。
 「あのさ…。
ホスト初心者に、何営か聞いたところで、その営業方法が何か、分からないでしょ?」
 あたしは、ため息が出そうな顔で、ホストたちに言った。
 ホスト達は、「あっ!」っとなって、それぞれの営業方法を教えてもらった、3人。
 当然、全員、「友営。」と答えた。
 あたしは、ふと気になって、彼らに聞いてみた。
 「ねぇ、ここって、系列店ある?」
「あるよ。
S1店。
行ったことあるの?」
「S1店?!
じゃあ、ここって、Yの店じゃんっ!!」
「Y…?」
「あっ…、気にしないで!」
 オーナーの知り合いだなんて、言えなかった。
 1人のホストが、聞いてきた。
 「なぁ、俺らの中で、誰がタイプ?」
「(来たっ!!)
(定番の質問!!)」
 まぁ、あたしくらいになると、普通に答えるわけなく…。
 「シャンパンタワー奢ってくれる人。」
「えっ…?」
「だから、シャンパンタワー奢ってくれる人。」
「そんなの居るわけねーだろ!!」
「じゃあ、タイプじゃない!!」
 ここで、第1グループが終わり、第2グループが来た。
 その中に、E君が居た。
 E君は、名刺を4枚差し出してきた。
 E君は、あたし達に、「どれでも引いて。」と言ってきた。
 あたし達は、1枚ずつ引いた。
 すると、肩揉み券、乳揉み券と書かれていた。
 あたしは、隣のKちゃんに話しかけた。
 「Kちゃん、何だった?」
「肩揉み…。
えりは?」
「乳揉み…。
あいつの乳揉めって事…?」
 E君は、ニコニコしながら、聞いてきた。
 「何が当たった?」
「この乳揉み券って、あたしが、E君の乳を揉めって事?」
「俺の?!
そうくる?
じゃあ、いいよ。
はい、どうぞ。」
 あたしは、E君の乳を揉んでみた。
 「あっ、思ったよりある…。」
「結構、がっつり、揉むんだな…。」
 あたしは、笑った。
 第2グループが終了し、第3グループが来た。
 このグループの中に、M君が居て、あたしは、M君の相談にのってて、他のメンバーが、何を話していたのか知らない。
 「俺さ…。
新人なのに、ネットで叩かれててさ…。
俺、そんなに酷い事してねぇんよ?」
「そうなの?
でも、叩かれるのは、いい事じゃん。」
「どこが?!!」
「だって、叩かれる人って、No上の方じゃん?」
「いや…。
俺、上の方じゃない…。」
「これから上がるかもよ?」
「え?」
「大体、気にならないなら、書き込みしないでしょ?
気になるから、書き込みされるんだと思うよ?」
「そんなの思った事なかった…。」
「って事で、あたしも書き込みしておくね?」
「止めろ、止めろ!
俺、結構、メンタルやられてるんだぞ!!」
 あたしは、笑った。
 「笑うな!!
絶対、書くなよ?!」
「はいはい。」
「絶対だぞ?!!
ってか、新規にこんな話…。
俺、絶対、とれんじゃん…。」
「まぁ、諦めなさい。」
 あたしは、悪戯っぽく、笑った。
 第3グループが終わった頃、あたし達の席は、大人気になっていた。
 そんな中、赤ジャケ着た、K君が来た。
 「ここか?
「シャンパンタワー奢って欲しい!」って言った奴がいるのは。」
「あたしよ。」
「シャンパンタワー、いくらか知ってんのか?」
「さぁ…。
いくら?」
「50万。
誰も自腹しねぇよ。」
「50万?!!」
「そう!!
高いだろ?!」
「やっすぅーー!!」
「は…??
…安い…?」
「だって、50万でしょ?
安いじゃん。」
「50万が、安い?!!」
「うん。」
 言った後、後悔した。
 「(エースに出来ると思われる…!!)
(エースになんて、なる気ないのに…。)
(どうしよう…。)」
「自分、ホントにおもしろいな。」
 K君は、笑い始めた。
 あたしは、分からなかった。
 「(「おもしろい…?)」
「「50万くらい、ホストからしたら、安いでしょ?」って事だろ?
だから、自腹しろと?
そんなに給料ねぇわっ!!」
 そう取られると思わなかった…。
 あたしは、その事に、乗っかる事にした。
 「50万くらい安いと思うくらい稼げっっ!!
そして、あたしに貢げっっ!!」
「50万が安いと思うくらい、稼いだら、アクセ時計買うわ!!
自腹なんかするかっっ!!」
「でも、伝説になるよ?」
「ある意味のな!
そんな伝説ヤダ!!」
 新規の時間は、あっという間に過ぎた。
 そして、ボーイさんが、送りを聞きに来た。
 あたしは、いつものように、選ぶことを決めていた。
 それは、名刺をくれなかった人の中から、選ぶという事と、友達と指名が被ったら、他の人を選ぶという事だ。
 この日、名刺くれなかったのは、K君とM君。
 K君にしようか悩んでいたら、あたしの耳に、Mちゃんの言葉が飛び込んできた。
 「あの、赤ジャケの人、よかったな〜。」
「あ〜、K君?
(やっぱり、赤ジャケ、目立つよね…。)
(K君…、諦めよう…。)」
 あたしは、ついてくれた、全員の会話と名前を覚えれるので、みんなが、こんな会話した人とか、話していると、名前を教えてあげた。
 みんなが、誰にするか悩んでいたら、Yちゃんが、「うち、2人のどっちにしようか悩んでて…。」と言い出した。
 その言葉に、KちゃんとMちゃんが、反応し、Kちゃんが、ある提案を出した。
 「じゃあ、わたしが、どっちかと連絡取って、どんな人か、教えてあげる。
それで、どっちがいいか、決めたら?
どっちと、先に連絡取りたい?」
 Yちゃんは、Kちゃんの提案にのったが、どちらに決めるか、決めかねていた。
 そんなYちゃんを見て、Kちゃんが、「こっちと、わたしが、連絡取ってあげる!」と名刺を取ると、Mちゃんも取った…。
 3人が、「え…。」となった。
 そして仕方なく、Yちゃんは、もう1人選んだ。
 それは、A君。
 これで、全員が決まり、指名が呼ばれた。
 あたしが、選んだのは、M君。
 M君は、選ばれると思ってなくて、すっっごい、ビビりながら来た。
 「な…、なんで…、俺…?」
「サイトに書き込みしようと思って…。」
「それは、マジで止めろ!!
メンタルやられる…。」
「分かった、分かった。」
「絶対、書きそう!!」
「書かないわよっ!!」
「なら、いいっ!」
 みんなが、連絡交換を済ませ、送り出しをしてもらった。