「えり…
   ほら、桜だよ…」
  心の中で
     優しい声が響く…


   「ここにいていいんだよ…」
  「もう、闇に戻らなくていいんだよ…」
    「飾らなくてもいいんだよ…」
  「ずっとそばにいるよ…」
    そう言われてるみたいに…

   あたしは
     あなたの隣でしか
       咲くことの出来ない花…

  散りゆくことしか
     知らなかった花…

   あたしは
     真っ黒な桜…

  桜は
   人の温もりが分からず
     人を試して生きてきた…

  偽りの温もりをくれる
    闇の中は
   居心地が良かった…


    桜は
  闇の住人になり
   真っ黒に染まっていく…

    もう
 闇から抜け出す
    力も方法も
      見失っていた…

 誰でもいいから
   散りゆく桜に
    気付いて欲しかった…

  人知れず
   ただ
     ひたすら
   散りゆく桜…

   その桜に
    気付いたのは
     彼でした…

 彼は
   ただ散りゆくだけだった桜に
    名をつけ
      咲き誇ることを
       教えてくれた…

  彼の優しさと
    温かさに
     触れた桜…


   桜にとって
     彼は
  なくてはならない
    存在になった…

     桜は
   恩返しに
    彼の前でのみ
      咲き誇った…


   彼のおかげで
     真っ黒な桜から
       桜色の桜になった…


   そんな桜は
     今日も咲き誇る…


  もちろん
    彼のために…