「どうしてこんな法律なんか作ったんだろ……」

俺はポツリと呟く。異世界の記憶があって何が悪いんだ。異世界になんて誰も行くことができないっていうのに……。

「前国王陛下は、異世界の知識を持った者に国を乗っ取られそうになったことがあるそうだ。それから異世界と関係がある者に厳しくなったらしい」

エルヴィンがそう言い、俺は「ふ〜ん……」と窓の外を眺める。空は綺麗な青空で、前世でも空が綺麗だったななんて懐かしくなる。でも、こっちじゃいつ前世のことを喋っちゃうかドキドキする毎日だけど。

「おい、アルミン！手が止まってるぞ」

バシンと俺は頭をエルヴィンに叩かれた。結構痛い。

「何すんだよ！！」

俺がエルヴィンを睨むと、エルヴィンは「お前、赤点取ったら補習に追試だぞ。嫌な思いをまたしたいのか？」と言う。確かに嫌だけど、でもやる気が起きないんだよ。

「アルミン、頑張ったら私の家のドラゴンに乗せてあげる。それから生チョコを作ったから、あとで食べよう？」