「私はね、その人の隠している秘密を知ることができるのよ。だから人の頭の中を覗くのが好きなの」

エリザベス先生のその言葉に、頭が一瞬真っ白になった時のことを思い出す。あの時に全て知られていたんだ。

「異世界に関係する人間を捕まえたら賞金をくれる人がいるのよ。このお友達は秘密を種に揺さぶったらすぐに捕まえてくれるなんて、優秀ね」

エリザベス先生はエルヴィンの肩に手を置く。エルヴィンは苦しげな表情で俺を見ている。でも、俺の目の前からは光や色が消えていってそれどころではなかった。

「異世界に関する記憶を持った人間とはこいつか」

どこからやって来たのか、黒いローブを着た魔法使いが数人現れる。そして俺を軽々と担ぎ上げた。もう俺は抵抗することも、叫ぶこともしない。ただエルヴィンを見つめていた。

エリザベス先生の満足げな笑い声が、連れて行かれる俺の耳に残った。



黒いローブの人たちは、異世界に関する人間を閉じ込める収容所の職員らしい。俺は山の奥深くの収容所に連れて行かれ、すぐに個室に閉じ込められた。