エリザベス先生が臨時教師としてこの学校に来て早数週間。生徒たちは全員、「アリス先生、早く帰ってきてくれないかな」とそればかり言っている。もちろん俺だってそうだ。あれほど魔法薬の授業が怖いと思ったことはない。

「エイミー、帰ろう。あれ?エルヴィンは?」

授業が終わり、俺がかばんに教科書を詰め終わると、エルヴィンの姿が見えなかった。おかしいな、いつもならエイミーと一緒にいるのに。

「エルヴィンなら、エリザベス先生に呼ばれた」

「えっ!?マジかよ。あいつ、でも何もしてないと思うんだけどな」

エリザベス先生はよく生徒を叱るために呼び出している。でも、エルヴィンは成績優秀だし、エリザベス先生からどんな難しい魔法薬を作れと言われてもあっという間に作ってしまう天才だ。そんなエルヴィンが叱られるってことはないと思うんだけど。

「褒めるために呼び出したんじゃない?」

「いや、それはないだろ。あのエリザベス先生だぜ?」