クラスメートの同情の視線を浴びながら、俺はどこかへ連れて行かれた。

「ほら、さっさと傷を見せろ」

俺が連れて行かれたのは、エリザベス先生の個室だった。この学校では先生には必ず個室が与えられ、授業や作業がない時にはその部屋でゆったり過ごすことができる。

俺が恐る恐る火傷した手を見せると、エリザベス先生は俺の手に杖を向けた。そして「インジュリ！」と呪文を唱える。その刹那、俺の手にあった痛々しい傷がゆっくりと消えていった。

「これでもう大丈夫だろ。世話をかけるな」

「は、はい。すみません……」

俺はエリザベス先生の冷たい目に耐えられず、早く教室に戻ろうとドアへと向かう。その刹那、頭の中が一瞬白い空白に包まれた。

「えっ？」

俺が後ろを振り返れば、「何をしている、さっさと行け」と冷たい声でエリザベス先生は言う。一体、さっきのは何だったんだろう。

俺はこの時、知らなかった。エリザベス先生がニヤリと笑って「なるほどな……」と呟いていたことに……。