桜は小学6年生の時に、病気になった。

といっても、手術をすれば治る。

手術を提案しても、桜は頑なに拒否し続けた。

その理由は…

成功する確率が20%だからだ。

生活には問題ないため、忘れている者が多かった。
しかし今から一年前、悲劇は起こった。

当時、中学3年生だった桜は女子テニス部の部長、
菜々香は副部長だった。

ところがある日、休日の午後練の時に突然桜が倒れた。

緊急だと気づいた菜々香は、

かかりつけの病院に電話をし、運ばれていった。

当時、男子バスケットボール部部長だった陽翔は

副部長の子に頼らせてもらい慌てて病院に来た。

誰もが焦りと不安を持った。

なんとか、持ちこたえたものの、

俺達家族だけは医師から聞いたことがあった。

医師からは手術をしない限り長くもって後1年。そう言われた。

目を覚ました本人にも伝え、手術を受けようと

言っても首を横にしか振らなかった。

それから数ヵ月後の冬、事件は起きた。

桜は陽翔と菜々香、尚の4人でいた。

しかし、それは実際悲しいものだった。

それは、桜はその日別れ話を切り出すつもりだったそうだ。

自分の余命の事は絶対に言わなかった。

別れ話をした際も、その場に菜々香と尚もいたが、
理由は絶対に言わず、

『次あった時に理由を教えるよ。』

そう言ったそうだ。

しかし、その瞬間桜は学校の屋上に走ったらしい。
それを、陽翔だけ追いかけた。

菜々香と尚は、次にそんなことが起こると知らずに陽翔に任せて教室に戻っていた。

しかし、遅いと疑問を持ち始めた2人は屋上に向かった。
すると、桜はフェンスを乗り越えていた。

必死に止ようとする陽翔。

何言われても横にしか首を振らない桜。

そして、陽翔達3人の目の前で…

桜は飛び降りた。

陽翔は、それを追いかけて落ちた。

奇跡的に下に低木があったため、助かった。

だが…………

落ちた衝撃などにより、

2人の記憶はなくなっていた。

それを、誰もが悲しんだ。

しかし、2人は何があったかも理解出来ず、

お互いもカレカノだった事すら覚えておらず。

悲しみに包まれた。

だからこそ、互いが思い出したら…

幸せになってほしい。

その為にも、今出来ることをやろう。

そう心に誓った。


- S I D E 夏 沙 E N D-