ダラダラと莉奈の体を冷や汗が伝う。光貴は数日前に他校の生徒と喧嘩をしたという噂もあり、莉奈は動こうとしても動けない状態だった。

「……チッ！時間がなくなる！」

動けない莉奈は光貴の舌打ちにびくりと肩を震わせ、今にも泣いてしまいそうになる。その前にズンズンと光貴が教室の中に入って来て、莉奈の腕を掴んで無理やり立ち上がらせた。そしてそのまま教室を出て行く。

普段は一人でいることの多い光貴に腕を引かれているため、廊下にいる生徒たちが莉奈と光貴のことをジロジロ見つめる。莉奈は顔を赤くして恥ずかしさと恐怖に耐えていたが、光貴は全く気にする様子がないようだった。

しばらくして、莉奈は空き教室の中に連れ込まれる。光貴が後ろ手にドアを閉め、莉奈は逃げたくても逃げられない状況になってしまった。

「あ、あの……私……」

泣きそうになりながら莉奈は口を開く。すると、無表情だった光貴の頬が赤く染まる。そして莉奈に近づいてきた。