「ひっ！！」

男性たちは一瞬にして顔を青ざめ、震え始める。その隙に光貴は莉奈の手を優しく包み、抱き寄せた。

「……死にたくなかったらさっさと失せろ」

光貴がそう言ってもう一度睨むと、男性たちは真っ青な顔をしたまま走っていく。莉奈はホッとして「ありがとう……」と光貴を見つめて言った。あのまま連れて行かれていたらと恐怖が蘇り、莉奈は光貴の手を強く掴む。

「俺が今回は助けられたからよかったけど、お前はもう少し自分が可愛いと自覚しろ！！本当に心配したんだからな！！」

莉奈は一瞬にして光貴の腕の中に捕われていた。しかし、その温もりが心地いいと莉奈は光貴の背中に腕を回す。初めて男性に触れた瞬間だった。

「……罰はきちんと受けてもらうからな」

「えっ？」

莉奈を離した後、光貴はニヤリと笑う。莉奈が首を傾げる前にチュッと唇に柔らかいものが触れた。キスされたのだ。

「心配だから離れんな！わかったな？」

わからなかったら何度でもキスしてやる、そう言って笑った光貴は狼のようだった。