あの話を聞かれてしまったのは恥ずかしいが、フラペチーノはやはりおいしかった。ゴクゴクと飲んでいく莉奈を、光貴は微笑ましくみている。そして不意に莉奈の頭にポンと手が置かれた。

「莉奈ってさ小鳥とか小動物みたいだよな。小さくて、可愛くて、守ってやらなきゃって思う」

優しく頭を撫でられ、莉奈はカアッと体が熱くなっていった。可愛いなど異性から言われたことなど一度もない。

「私、可愛くなんてないよ!チビなのは事実だけど……」

恥ずかしくてその場から莉奈は逃げ出したいと思った。その時、偶然にも手元のフラペチーノが空になる。莉奈は勢いよく立ち上がった。

「私、ゴミ捨ててくるね!」

そう言い、素早く莉奈は光貴の近くから離れた。



莉奈の顔は赤く染まり、光貴を思い出しては胸を高鳴らせている。この数時間で、光貴に対する恐怖は完全に消えてしまった。

「ハアッ……ハアッ……。何なんだろ、この胸の苦しさ……」