「なつ、なつならまたすぐに元気になれるからさ、一緒に頑張ろうよ。」

できるだけ優しく、なつの目を見ながら語りかける。

なつは、口を固く結んだままずっと両目を潤ませている。

「……今までもさ、沢山頑張って来れたじゃん。今回も、なつならすぐに乗り越えられるよ。」

そう言うと、なつはしゃくりを上げながら小さな口を開く。

「…だってさ、だってさ……なつ、いっぱいがんばったけど、またびょうき、なんでしょ……、なつ、またがんばんなきゃだめなの?」

胸を鷲掴みされたような衝撃に襲われた。

そうだよね、ずっとなつは頑張ってきたもんね。

何年も何年も、他の子たちが元気に走り回っているのを思いながら頑張って来たんだもんね…

だめだ、また泣きそうになってしまう。

最近は、なんだか涙脆いな。

「……うん。」

精一杯返事を返す。

「…………そっか」

なつから返ってきたのは、意外なくらい素っ気ない返事だった。

驚いて顔を上げると、なつは諦めたような笑みを浮かべていた。

「……じゃあ、なつ、がんばるね。」

今、なつを放置していたらそのまま消えてしまいそうな程儚くて、気付けば俺はなつを抱きしめていた。