それに、なにより、ジークの言葉が嬉しかった。

『ここにいて欲しい』

　こんなにも優しい言葉を贈られたのは初めてだった。実の親ですら、そんなことは一度も言ってくれなかった。

「な、なぜ泣くんだ？」

　ジークはおたおたと慌てて、どうしていいかわからないようだった。

「ごめんなさい。あんまり嬉しくて……初めて居場所を与えてもらったんです。私、ここにいていいんですね」

　ジークは戸惑いつつも、そろそろとエイミの頭に手を伸ばした。そして、ぎこちない手つきで彼女の頭を撫でてやる。

「ここは、もうお前の家だ。好きなだけ、いればいい」

　実はこの時、もっと気の利いた言葉はなかったのかと、ジークは心の中で猛省していたのだが、エイミの長年傷つけられてきた心には彼の率直な優しさが染み入るようだった。

「ありがとうございます」

　涙を流しながら、エイミはジークに笑いかけた。ジークは照れたように、エイミから視線を外した。そして、ぼそりと呟いた。

「俺は、お前と話すのが楽しい。嫌じゃなければ、また話しかけてもいいか？」
「もちろんです！」