公爵という身分を持つジークや美形のアルと、エイミとでは立ち位置が全く異なると思うのだが……ジークはそんなことは考えもしないようだ。
「いやいや。僕は結婚できないんではなく、していないだけですから! ジーク様やトマス爺と一緒にしないでくださいよっ」
アルが口を尖らせるが、すかさずリーズにつっこまれる。
「アル。そういう言い訳は余計に惨めな感じになるから、やめたほうがいいと思うの」
「断じて、言い訳じゃないね! 僕はその気になれば、明日にでも結婚できる」
アルとリーズはとてもいいコンビのようだ。アルがずっと年下のリーズに言い負かされているのが、なんだかおかしかった。
エイミはぱっと視線を上げて、ジークを見た。
「あの、公爵様。改めて、お世話になります。よろしくお願いします」
「公爵様はよせ。ジークでいい」
「……では、ジーク様と」
「うん。そっちのほうがいい」
そう言って、ジークはふっと目を細めた。それは、笑顔というにはややぎこちないものだったけれど、エイミの心をじんわりと温めてくれた。
村では、こんなふうにエイミに笑いかけてくれる者はいなかったから。
(不思議……最初は怖いと思っていたのに、いまは全然そんなこと思わない)
「いやいや。僕は結婚できないんではなく、していないだけですから! ジーク様やトマス爺と一緒にしないでくださいよっ」
アルが口を尖らせるが、すかさずリーズにつっこまれる。
「アル。そういう言い訳は余計に惨めな感じになるから、やめたほうがいいと思うの」
「断じて、言い訳じゃないね! 僕はその気になれば、明日にでも結婚できる」
アルとリーズはとてもいいコンビのようだ。アルがずっと年下のリーズに言い負かされているのが、なんだかおかしかった。
エイミはぱっと視線を上げて、ジークを見た。
「あの、公爵様。改めて、お世話になります。よろしくお願いします」
「公爵様はよせ。ジークでいい」
「……では、ジーク様と」
「うん。そっちのほうがいい」
そう言って、ジークはふっと目を細めた。それは、笑顔というにはややぎこちないものだったけれど、エイミの心をじんわりと温めてくれた。
村では、こんなふうにエイミに笑いかけてくれる者はいなかったから。
(不思議……最初は怖いと思っていたのに、いまは全然そんなこと思わない)